castellano って何?

¿Qué lenguas hablan en España?
スペインで話されている言葉って何?

そりゃ,「スペインではスペイン語が話されてるんじゃないの?」っていわれちゃいそうな気がするんだけど・・・スペイン語って名称は,実はあるようでないのです.かなりあいまいな言葉です.

 

El español y el castellano
スペイン語とカスティーリャ語

スペイン語は英語で Spanish で,じゃあスペイン語では何かというと español だとまず覚えますね.たとえば,「私はスペイン語を話します.」は,

  • Yo hablo español.

ですね.

もしかすると,このとき同時に español の別名として castellano というのも教えてもらえたり,調べものをしているときに覚えるかもしれません.

この castellano というのが実はいわゆるスペイン語なのです.castellano はスペインのカスティーリャ地方で主として話されてきた言葉で,カスティーリャ語とも訳されるそうですが,何も知らずただただそう訳すと訳がわからなくなっちゃう.だって,castellano をスペイン語という風に訳すときもあるから.

じゃあ,castellano はスペイン語とカスティーリャ語とどっちに訳せばいいの?

 

El castellano, la historia de España y el español
カスティーリャ語とスペインの歴史,そしてスペイン語

確かに,castellano がカスティーリャ地方の方言だったのは事実らしい.ときに,中世においてイベリア半島の大半がイスラム教徒に征服されていたのを歴史(世界史)で勉強したの,覚えてますか? その後,レコンキスタといって,スペインに住むキリスト教徒たちがイベリア半島を自分たちの手に取り戻す運動が盛んになったけど,その中心にあったのがカスティーリャ国らしい.そして,当時数多くあったキリスト教徒の国の中でも大国だったカスティーリャの王女イサベラ1世ともう一つの大国であったアラゴン王太子フェルナンド2世が結婚することでスペインが統一され,1492年最後のイスラムの拠点だったグラナダが陥落し,レコンキスタ(国土回復)が達成されるのでした.*1

話がわき道にそれたけど,つまりスペインの歴史の中でカスティーリャ地方が果たした役割が大きかったということさ.だから,カスティーリャ方言がスペイン王国の標準語たるスペイン語にまでのぼりつめたというわけだ.

 

En la Constitución Española
スペイン憲法を紐解くと…

ということで,歴史的に今まで見てきたところから castellano はスペイン語という意味の単語と言えるわけだけど,やっぱり単なるスペイン語という意味ではないのです.というのも,現在のスペイン憲法 la Constitución Española 第3条 el artículo 3 にこんなことが書かれています.*2

  1. El castellano es la lengua española oficial del Estado. Todos los españoles tienen el deber de conocerla y el derecho a usarla.
  2. Las demás lenguas españolas serán también oficiales en las respectivas Comunidades Autónomas de acuerdo con sus Estatutos.
  3. La riqueza de las distintas modalidades lingüísticas de España es un patrimonio cultural que será objeto de especial respeto y protección.

初心者にいきなりスペイン語の文章は読めないですね(なんとなく分かる人もいるかも).これを訳すとこんな感じになります.*3

  1. カスティーリャ語は国の公用のスペイン語である.すべてのスペイン人はこの言葉を知る義務を負い,この言葉を使う権利を有する.
  2. 他のスペインの言語も,自治州の定める条例に従ってそれぞれの自治州の公用語になるだろう.
  3. スペインにおける言語多様性という財産は,文化的遺産である.それは,特別な敬意と保護の対象となるであろう.

法律の文章なので,なんだか日本語で読んでもスペイン語で読んでもややこしいですね.とりあえず私はこんな風に理解しました.

  • スペイン国の公用語はカスティーリャ語.これを通常スペイン語と呼んでいる.
  • 自治権が強く認められているスペインの自治州ではそれぞれ公用語を定めてもいいよ.
  • スペインは実は多言語国家なのだ.この多言語性を今後大事にしていこうね.

 

¿Qué significa el futuro usado en la constitución?
スペイン憲法条文中の未来形って?

あと,第3条第2項で serán が,第3項で será という単語が用いられてるのは大きい特徴と思います.これらは ser 動詞の未来形 futuro (o futuro simple) ですね.

憲法という法律が未来形で書かれているってどういうこと?

スペイン法を勉強していない私が推測するに,未来形を用いるときは憲法条文内ではそれ以上規定せず,他の法律や自治州の法に詳細を任せるということかな.

 

Las lenguas habladas en España
スペインで話されるスペインの言葉

スペインの国語である castellano 以外に,自治州の法令で公式に認められたスペインの言語は,

バスク語 euskera (パイース・バスコ州とナバーラ州)
ガリシア語 gallego (ガリシア州)
カタルーニャ語 catalán (カタルーニャ,バレアレス諸島,そしてバレンシア州*4

です.以下に,スペイン各地で話されている言葉地図*5を掲載しておきます.(もっと見やすい地図が欲しいのですが…どなたかいい地図を探してください.)

La diversidad lingüística en España - スペイン各地で話されている言葉

少しスペイン憲法の話に戻るけれども,なぜ言語多様性を憲法内でうたったかというと,20世紀半ばのフランコ政権が castellano 以外のスペインの言葉を使うのを禁止したからだそうです.フランコ独裁政権後,スペインは王国になりますが,そのとき抑圧されてきた各地域の文化性を尊重する政策に転換したのでしょう.

 


*1 スペインのあるイベリア半島の歴史について知りたい方は http://www.nishida-s.com/main/categ2/spain-1/spain-1.htm などを参考にしてください.

*2 スペイン王国憲法第3条は http://www.tribunalconstitucional.es/CONSTITUCION.htm#c1 に掲載されているものを引用しました.

*3 http://www3.plala.or.jp/mig/iberian/b001.html に書かれている訳を参考にして,自分流にアレンジしました.ちなみに,このサイトの憲法条文と上述の条文は微妙に違います・・・どうして?

*4 スペイン王立アカデミー la Real Academia Española の辞書では,バレンシアのカタルーニャ語はバレンシア語 valenciano となっています.

*5 言語地図は http://www.elcastellano.org/lenguas.html で入手しました.

 

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